- 「ご丁寧にありがとうございます」は失礼な言い方?
- まったく失礼ではありません。ただ、もっと適切な言い回しがあり、それに変えたほうが皮肉に聞こえるリスクが減ります。
就活で初めて使う人もいるでしょう。
就職してビジネス上のメールで初めて使う人も多いでしょう。
相手は上司や目上の人、取引先、先生などさまざま。
そんな、ちょっと扱いに迷う「ご丁寧にありがとうございます」について
- 「ご丁寧にありがとうございます」は失礼?
- 皮肉や嫌味にならない使い方
- 「ご丁寧にありがとうございます」の別の言い方

こんな知識を社会人生活が長い私がくわしく解説していきます。
目上の人(上司など)に「ご丁寧にありがとうございます」は失礼?
「ご丁寧にありがとうございます」の言い回しは、社会人として仕事をする上でよく使われます。
私も頻繁に使いますが、まったく失礼ではありません。
- 目上の人
- 上司
- 取引先
- 先生
- お客様
など、どんな相手でも失礼には当たりませんよ。
電話やメールはもちろん、面と向かって相手に言う場面でも使えるフレーズです。
ただ、使い方次第では皮肉っぽく聞こえたり、場合によっては嫌味だと解釈されて相手から悪い印象を持たれることも……。

次の章で、皮肉や嫌味にならない正しい使い方を学んでください。
「ご丁寧にありがとうございます」が皮肉や嫌味にならない正しい使い方
「ご丁寧にありがとうございます」は正しい敬語表現であり、文字に起こしてみても一部の隙もない言い回しです。
しかし、口調や表情が伝わらないメールの文面では、相手に皮肉っぽく響きやすいもの。

最悪の場合、嫌味だと受け取られるケースもありえます。
そんなあらぬ誤解を避けるために、「重要な5つのポイント」がコチラになります。
- 目的語を入れる
- 「ご丁寧に」を「ご丁寧な」に言い換える
- ご丁寧の「ご」を省く
- ご丁寧の前に「わざわざ」を付けない
- ご丁寧の後に「ことに」を付けない
ちょっとした言い換えで、グッと柔らかくスマートな表現になりますよ。
目的語を入れる
「ご丁寧にありがとうございます」だけでは、「何」に対して感謝しているのか曖昧です。
日本語は、主語や目的語を省略しても伝わる言語。
しかし、目上の人(上司)や取引先などには略さないほうが敬語としては正しいでしょう。
この場合は「何」に当たる目的語をハッキリと書くようにします。
目的語に当たるのは、たとえばこんなものが挙げられます。
- メール
- 連絡
- 指導
- 報告
- 返信
文章として例文にするとこのようになります。
- 「ご丁寧にメールをいただきありがとうございます」
- 「ご丁寧にご連絡をいただきありがとうございます」

目的語を入れると、つっけんどんだったフレーズがソフトになったと感じませんか?
「ご丁寧に」を「ご丁寧な」に言い換える
ドラマやマンガでは嫌味っぽいオバサンが、こんなセリフを放つ場面があります。

それはそれは、どうもご丁寧に!
失礼な相手に対して皮肉をこめて言ってるシーンですね。
このように「ご丁寧に」には悪いイメージがあり、「まったく丁寧じゃない」と逆の意味に受け取られる恐れがあるんですね。
これを避けるために、「ご丁寧に」を「ご丁寧な」に言い換えましょう。
例文を挙げると、こうなります。
↓
「ご丁寧なメールをいただきありがとうございます」
↓
「ご丁寧なお返事をいただきまして、ありがとうございます」
ご丁寧の「ご」を省く
ご丁寧の「ご」は、相手の「丁寧」な振る舞いに対して敬意を表した「接頭語」です。
ただ、「ご丁寧」のフレーズは
- バカ丁寧過ぎる
- 大げさ過ぎる
- へりくだりすぎている
- 嫌味っぽい
- 感じが悪い
- 慇懃無礼
相手によっては、こういった受取り方をされる場合も……。
ちょっと丁寧すぎるなと感じたら「ご」は省いて、シンプルに「丁寧」だけにしましょう。
逆に「丁寧」だけだと「感じが悪い」と捉える人もなかにはいますので、時と場合によって使い分けるのが無難です。
また、「ご丁寧」を「わざわざ」に言い換えるのも、ひとつの手です。
↓
わざわざありがとうございます
「ご」の連続使用は二重敬語には当たらない
「ご丁寧にご連絡をいただき、ありがとうございます」では、「ご」が連続して使われていますよね?
同じ語句に2つ以上の敬語を使うと「二重敬語」に当たりますが、この場合は別。
- ご丁寧
- ご連絡
と別個である2つの語句に敬語が使われているので、まったく問題ありません。
「ご」を省くのはあくまで選択肢のひとつで、表現として間違っているわけではない点にご注意ください。
ご丁寧の前に「わざわざ」を付けない
「ご丁寧にありがとうございます」をさらに強く表現するために「わざわざ」をつける人も少なくありません。
こんなフレーズです。
御礼の言葉がより強調される気もしますが、いざ自分が言われる側になったら「イラッ!」としませんか?
それは「わざわざ」に、「そんなことをしなくていいのに」というニュアンスを感じ取ってしまうため。
せっかく御礼の言葉を述べているのに、相手を不快にさせたら全くの無意味です。
不要な「わざわざ」は付けないようにしましょう。
ご丁寧の後に「ことに」を付けない
丁寧な言い回しにするほど、逆効果になる見本のひとつがこれ。
書いている人が

まったく余計なことをしやがって
と内心で毒づいているのを想像しちゃうような言い回し。
これは完全に嫌味になってしまうので、くれぐれも「ことに」を付けるのはやめましょう。
「ご丁寧にありがとうございます」の例文
「ご丁寧にありがとうございます」的な文章には、様々なバリエーションがあります。
メールや口頭ですぐ使えるように、例文をいくつかご紹介します。
- 「ご丁寧に教えてくださり、ありがとうございます」
- 「ご丁寧にご指導いただき、ありがとうございます」
- 「ご丁寧にご報告をいただき、ありがとうございます」
- 「ご丁寧なご説明をありがとうございます」
- 「ご丁寧な対応をしていただき、ありがとうございます」
- 「ご丁寧にお知らせをいただきまして、ありがとうございます」
- 「ご丁寧にお返しまでいただき、ありがとうございます」
「ご丁寧にありがとうございます」の別の言い方
「ご丁寧にありがとうございます」は便利なフレーズですが、毎回お礼を言葉にする際に多用するのは問題です。
文面がコピペしたように同じようなワンパターンになり、あらぬ誤解を与えてしまう可能性も。
そんなマンネリを打破するために、「ご丁寧にありがとうございます」の他の言い方をいくつかご紹介します。
- わざわざありがとうございます
- ご連絡ありがとうございました
- ご連絡いただきありがとうございます
- お忙しい所、メールをいただきありがとうございます
- この度は詳細にわたるご報告をいただき、ありがとうございます
- ○○の件につきましてご配慮いただき、ありがとうございます
- ご多用の所、ご報告いただきましてありがとうございます
- 丁重にもご連絡いただき、ありがとうございます
メールの「ご丁寧にありがとうございます」に返信する際の例文
メールで相手から「ご丁寧にありがとうございます」と伝えられた場合は、「どういたしまして」の返答ではフランクすぎます……。
もっと丁寧に、こんな返し方をしましょう。
- お役に立てたなら幸いです
- お役に立てたようで幸いです
- また何かございましたらお申し付けください。
まとめ
- 「ご丁寧にありがとうございます」は失礼ではない
- 使い方次第では皮肉や嫌味に聞こえる
- 使う場面に合わせて微妙にフレーズを変える
ビジネスシーンでは特にこれから何度も使うことになるはず。
適宜、言い回しを調整して相手に失礼にならず、上手に使えるようになりたいですね。