「まずはじめに」の漢字の書き方

「まずはじめに」を漢字で書くとしたら、「始め」と「初め」の2つが候補になります。

でも、どっちが正しいのか、迷ってしまいますよね?

私は日常的に文章を書くのを仕事にしていますが、いざとなると自信をもって判断できません。

困り果てて日本語にくわしい人に訊いてみると、納得できる答えが返ってきましたよ!

そこで、この記事では

  • 「まずはじめに」の漢字の正しい書き方
  • 「始め」と「初め」の意味や違い
  • 「まずはじめに」は間違った使い方?

などなど作文や論文を書く上で手が止まっている人のために、助けになる情報をお伝えしますね。

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「まずはじめに」を漢字で書くと?

はじめに

「まずはじめに」を漢字で書く場合は、「始め」と「初め」のどちらかを場面場面で使い分ける必要があります。

つまり、どっちが正しくてどっちが間違いと、二者択一でジャッジするのは誤りです。

「まずはじめに」の後に続く文章(文脈)に合わせて、適切な方を選ぶわけですね。

作文や論文で文頭に書く場合の漢字は「始め」

作文や論文で文頭に

  • まずはじめに主張したいのは~
  • まずはじめに説明しておくと~
  • まずはじめに断っておきたいのは~

このように書く場合の漢字は「まず始めに」が適切です。

物事の手順を説明する場合の漢字は「始め」

また、物事の手順を説明するときに

  • まずはじめにやることは~
  • まずはじめに準備するのは~

このように書く場合にも漢字は「まず始めに」が適切です。

「最初に」の意味で使うときの漢字は「初め」

以下のような場面では「始めに」ではなく「初めに」の漢字を使います。

  • まずはじめに犠牲になったのは~
  • まずはじめにゴールしたのは~

このように順序の先頭、生まれて初めてなど「最初に」の意味で使う場合ですね。

「まず」を漢字で書くと「先ず」

「まずはじめに」の「まず」を漢字で書くと「先ず」になります。

ですから、すべてを漢字で書くとすると

  • 「先ず始めに」
  • 「先ず初めに」

それぞれこのような書き方になります。

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「まずはじめに」は【漢字・ひらがな】どっちで書く?

「まずはじめに」は漢字で書くべきか、それともひらがなでも良いのか迷うところですよね?

世に知られた有名作家たちは、どちらの表記を使っているのでしょうか

『青空文庫』(無料で読める文学作品集)に登録されている作品から、使用頻度をリサーチしてみました。

検索ヒット数 書物の分類(冊数) 作家名(使用頻度)
まずはじめに 20件 哲学 (4)
歴史 (2)
社会科学 (2)
文学 (13)
井上円了 (3)
菊池寛 (2)
海野十三 (2)
チェーホフアントン (1)
神西清 (1)
マンパウル・トーマス (1)
実吉捷郎 (1)
小山清 (1)
原民喜 (1)
スウィフトジョナサン (1)
米川正夫 (1)
トルストイレオ (1)
高神覚昇 (1)
羽仁もと子 (1)
平林初之輔 (1)
喜田貞吉 (1)
片岡義男 (1)
ボームライマン・フランク (1)
大久保ゆう (1)
原田義人 (1)
カフカフランツ (1)
柳田国男 (1)
まず始めに 7件 哲学 (2)
歴史 (2)
社会科学 (1)
自然科学 (1)
文学 (1)
戸坂潤 (3)
宮本百合子 (1)
柳田国男 (1)
大隈重信 (1)
河口慧海 (1)
まず初めに 25件 総記 (1)
哲学 (7)
歴史 (2)
社会科学 (2)
自然科学 (4)
文学 (10)
戸坂潤 (9)
和辻哲郎 (5)
キャロルルイス (2)
大久保ゆう (2)
海野十三 (2)
佐野昌一 (1)
バルザックオノレ・ド (1)
中島英之 (1)
中山省三郎 (1)
ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ (1)
柳田国男 (1)
片岡義男 (1)
高浜虚子 (1)
橘外男 (1)
ユゴーヴィクトル (1)
豊島与志雄 (1)

使用件数としては「まず初めに」が多いという結果。

ただ、使用した作家の人数では「まずはじめに」が上回ります。

言葉の専門家である作家(翻訳家)がひらがなを多く選んでいるので、

ミサオミサオ

無理に漢字にする必要はない

というのが私の意見です。

「始め」と「初め」の意味と使い方

本を開くビジネスマン

「まずはじめに」を漢字にする際、どちらが正しかったのか迷いますよね?

そこで判断の助けになるように、「始め」と「初め」のそれぞれの意味や使い方をご紹介します。

「始め」の意味

「始め」の意味がコチラ。

  • なにかをはじめること
  • なにかをはじめた時期
  • なにかが起こること

主に行動をスタートさせるときに使う言葉なんですね。

「始め」は「始める」という動詞が元になっているので、行動に関わる意味あいが強いわけです。

「始め」の使い方・例文

  • 今日から仕事始めだ
  • 新生活の始めは期待と不安が入り交じる
  • ダイエットは始めが肝心

「初め」の意味

「初め」の意味がコチラ。

  • なにかを行う最初の時期
  • なにかを順番に並べたときの先頭

なにか(出来事など)が時間的に「最初」であることを意味します。

「初孫」・「初出し」・「初登場」など初がつく単語を思い浮かべると、イメージしやすいでしょう。

「初め」の使い方・例文

  • 4月の初めはまだ気温が低くて寒い時期だ
  • 初めから終わりまでずっとトップの順位だった
  • 初めのほうはつまらないが最後は面白い

「まずはじめに」は重言(じゅうげん)・重ね言葉

実は「まずはじめに」という言葉は、日本語のルールから外れた「重言(じゅうげん)」、または「重ね言葉」なんですよ。

重言(じゅうげん)・重ね言葉とは、同じ意味の言葉を2つ重ねた言い方のこと。

たとえば、以下の表現がまさにそれに該当します。

  • 頭痛が痛い
  • 馬から落馬
  • あとで後悔

また、この記事中でも使っている「一番最初」も重言のひとつ(同じく「一番最後」も重言です)。

「まず」の意味

そもそも「まずはじめに」の「まず」には以下の3通りの意味があります。

  • はじめに
  • ひとまず
  • おそらく

よく考えれば「まず」は

  • まず塩を入れましょう
  • まず熱を測ってください

このように使いますよね?

この「まず」は「はじめに」の意味で使っているはずです。

つまり、「まずはじめに」という言葉の意味を分解すると、「はじめにはじめに」と同じ意味の言葉が2つ重なっているわけですね。

これは間違いなく重言(重ね言葉)ですよ。

「まずはじめに」は今では間違いではない

とはいえ、「まずはじめに」のような重言は、100%間違いとは言えず、グレーな部分に属します。

プロの作家だって使っていますし、ライター稼業の人は言葉の意味を強めるテクニックのひとつとしてあえて使ったりしますから。

それに長い間、使われ続けることで違和感がなくなり、普通の使い方として馴染んでしまっているのも事実。

一般の人も、事実を知らずに無意識に使っている人、厳格に避けて使わない人など様々……。

ご自身の判断で使うか・使わないかを選択されてください。

「まずはじめに」の言い換え方

より正確な日本語表現をこころがけるなら、「まずはじめ」を言い換えてみましょう。

候補としてまず浮かぶのは「まず最初に」ですが、これもよく見れば重言……。

よって、ここはシンプルに

  • まずは~
  • はじめに~

このようのどちらかを単独で使うといいのではないでしょうか。

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まとめ

「まずはじめに」は漢字ではどう書くのか、くわしくお伝えしてきました。

ここまでの内容をおさらいすると

  • 作文や論文で文頭に書く場合は「まず始めに」
  • 物事の手順を説明する場合も「まず始めに」
  • 「最初に」の意味で使う場合は「まず初めに」
  • すべて漢字にすると「先ず始めに」・「先ず初めに」
  • 漢字ではなく、ひらがなで書くのがベターである
  • 「まずはじめに」は重言で、本来は誤った言語表現
  • 現在では普通になり使うのは間違いではない

どちらが正しいというわけではなく、文脈でどちらか適切な方を選ぶのが正解なんですね。

はっきりとどちらの漢字が正しいのか分からない場合は、ひらがなで書いてしまうのが安全策ですよ。

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