- 「桜」が名前に良くないのはどうして?
- 短期間で散ってしまう桜の花が「短命」を連想させ、縁起が悪いと昔から言われているためです。
日本の象徴であり、事実上の国花ともいえる「桜」。
伝統的な和のテイストが今は逆に新鮮で、女の子の赤ちゃんに使いたい人は多いはず。
しかし、「命名には避ける漢字」に入っていると知って戸惑っていませんか?
そこで今回は
- 「桜」が名前に良くない理由
- 「桜」が名前にふさわしいワケ
- 「桜」の現在の人気度
をご紹介します。
これを読めば「桜」に対する疑問点や不安が解消しますよ。
「桜」が名前に良くない3つの理由
「桜」が名前に良くないと言われる理由は、この3つです。
- 短命な花だから縁起が悪い
- 小説「桜の樹の下には」の影響
- 客のフリをする「サクラ」を連想する
短命な花だから縁起が悪い
「桜」が名前に良くない理由の1つ目が、「短命な花だから縁起が悪い」ためです。
桜の花は約2週間で散る
桜の花は開花から約2週間で散ってしまいます。
その儚さこそ日本人が桜を特別に愛する理由。
しかし、名前に使う場合には
「桜」と名付けたら子供が早死してしまう
とネガティブに捉えられてしまうわけです。
武家社会で避けられていた過去
中性の日本では命のやりとりをする「戦(いくさ)」が日常茶飯事でした。
いわゆる武士が権力を握っていた武家社会の時代です。
その頃は特に桜の短命さを嫌って、子供の命名に「桜」を使うことは避けられていました。
また、家紋にすら桜を入れることはなかったそうです。
現代でもその考えは受け継がれており、年配の人は特に
「桜」を名前に使うなんて縁起でもない!
なんて反対するわけですね。
小説『桜の樹の下には』の影響
「桜」が名前に良くない理由の2つ目が、「小説『桜の樹の下には』の影響」があるため。
どんなストーリーの小説?
『桜の樹の下には』は坂口安吾が著した短編小説。
2千文字たらずのストーリーと呼べるものがない、詩や散文のような小説です。
以下のフレーズを目にした(耳にした)ことがありませんか?
小説のタイトルは知らなくても、このフレーズは超有名です。
桜が美しいのは
こう主人公の「俺」は妄想するんですね。
奇妙だけど妙に心に残る話で、一度読めばくっきりとイメージが心に焼き付いて離れません。
桜の花の悲しげなイメージと結びついた
桜は美しいですが、同時に物悲しく、ときに怪しく目に映ることも。
そんなとき「桜の樹の下で」を思い出し、桜は美しいだけじゃなく、不気味で怖い面もあるのでは……と妄想が広がります。
そんな悲しく不気味なイメージを一度でも思い浮かべた人からすると
「桜」って良い面ばかりじゃない、怖い面もある
なんて考えて躊躇してしまうのでしょう。
客のフリをする「サクラ」を連想する
「桜」が名前に良くない理由の3つ目が、「客のフリをするサクラを連想する」ため。
お客さんがいない不人気店がさも繁盛しているかのように見せるために雇う人を「サクラ」と呼びます。
一種の偽装工作ですね。
江戸時代の歌舞伎が語源
江戸時代の芝居小屋には、歌舞伎を盛り上げるために「掛け声」をかける人が雇われていました。
タダで歌舞伎を見せてあげる対価として、盛り上げ役を担ってもらう魂胆です。
なぜこの役割の人が「サクラ」と呼ばれるようになったかというと
- 桜の花見はタダ=歌舞伎をタダで見られる
- 桜はパッと咲いて散る=芝居の盛り上がりはその場限り
といった2点にかけて。
現代でもサクラは同様の使われ方をしており、その役割上、あまりいいイメージはありません。
そんな音の響きと同じ名前を子供に名付けるのは、ちょっとどうか……との意見があるのもうなづけます。
「桜」が名前にふさわしいワケ
「桜」の漢字を悪く言う人は確かにいますが、こんな点にクローズアップすれば、逆に「ふさわしい」と感じられるはずですよ。
- 万人に愛される国民的な花
- しっかり根を張り毎年花を咲かせる強さがある
- 樹齢の長さから長寿にあやかれる
万人に愛される国民的な花
毎年春になると全国各地で桜の花を見るため、花見客が殺到します。
日本人の大半は桜に対して好意的であり、万人に愛される国民的な花だといって過言ではありません。
「桜」を名付けに使えば、そんな良いイメージで受け取ってくれる人が大半でしょう。
しっかり根を張り毎年花を咲かせる強さがある
桜の開花期間は短く、短命なのは確かです。
しかし、今年散ってもまた来年必ず花を咲かせる強さがあります。
これを人間に例えれば、挫折や困難から立ち上がり、打ち勝つようなタフな人。
桜の花だけに注目すれば弱々しいですが、幹はどっしりと太く、根っこはしっかりと地面に張っています。
桜を家の庭に植えると、「根っこが土台を壊す」とも言われるほど強力なんですよ。
樹齢の長さから長寿にあやかれる
公園や街路樹に植えられているソメイヨシノは、寿命が60~80年とそれほど長くはありません。
しかし、山桜は200~300年ほどであり、なかには500年を越える古樹も!
花の命は短いですが、「樹」自体は長寿なんですね。
「桜」の名をつけた子はそんな長寿命にあやかって、長生きできそうです。
「桜」の現在の人気度
「桜」は人名用漢字として今まどれくらい人気があるのでしょうか。
この2つのデータからリサーチしてみました。
- 赤ちゃんの命名ランキングTOP100
- 「桜」の名前を持つ有名人
赤ちゃんの命名ランキングTOP100
前年度に生まれた赤ちゃんにはどんな名前がつけられたのか、毎年必ず大手機関が発表しています。
上位TOP100に「桜」の漢字が入った名前はあったのでしょうか。
性別 | 順位/名前 |
---|---|
女の子 | ・17位/美桜 ・59位/実桜 ・59位/心桜 ・91位/未桜 |
男の子 | ランク外 |
女の子の名前には4つランクインしていました。
男の子はやはりというかラング外という結果。
「桜」の名前を持つ有名人
「桜」の漢字が名前(下の名前)に入った有名人を集めてみました。
- 今田美桜:俳優
- 野田美桜:俳優
- 工藤美桜:俳優
- 末永桜花:アイドル
- 安藤咲桜:タレント
- 今井美桜:アナウンサー
- 丹下桜:声優
- 松井菜桜子:声優
「桜」を「お」と読ませる名前が人気のようです。
また、宮脇咲良さんのように「さくら」の響きを別の漢字に当てて使う人も増えている印象があります。
まとめ
「桜」が名前に良くないと言われる理由は
- 短命な花だから縁起が悪い
- 小説「桜の樹の下には」の影響
- 客のフリをする「サクラ」を連想する
という3つでした。
サクラサクは受験合格のサインであり、おめでたいことの象徴でもある桜の花。
しかし、その短命さゆえに縁起が悪いとされる一面もあります。
どちらを重視して、命名には避けるか、それとも使うかは名付け親次第といったところ。
個人的には桜には「陽(ポジティブ)」なイメージが強いので、名前に使うのは問題ないと思います。