鯉のぼりを見なくなった10の裏事情

ミサオミサオ

鯉のぼりを見なくなった理由がこちらです。

  • 少子化で子供の絶対数が減った
  • 飾る場所が無い(庭が狭い・禁止されている)
  • 男児がいることを周囲に知られてしまう
  • 子供がいる幸福アピールになる
  • 見栄の張り合いになる
  • 飾らない環境で育った親が増えた
  • 家の中で飾る家庭が多い
  • 核家族化で祖父母が同居していない
  • 毎日出したり片付けたりが面倒くさい
  • 家計が苦しいから用意できない

五月晴れの青空に悠然と泳ぐ鯉のぼり。

ちょうどゴールデンウィークの終わり頃、端午の節句がやってきます。

昔は外を歩いたり、クルマや電車に乗っていれば、あちこちの家の庭に立派な鯉のぼりが泳いでいましたよね?

しかし、最近ではこんな理由から滅多に見かけなくなりました……。

ここでは、そんな日本の素晴らしい伝統文化がピンチに陥っている裏事情をくわしく見ていきましょう。

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【理由.1】少子化で子供の絶対数が減った

鯉のぼりを見なくなった最大の理由は「少子化」でしょう。

生まれる子供の絶対数が減れば、それだけ鯉のぼりを飾る家庭が減るのは当たり前ですね。

では、具体的にどれくらい子供の数が減少したのか、戦後から最近までのデータで確認してみると……

年代 出生数
1947~49年(第1次ベビーブーム) 約270万人
1973年(第2次ベビーブーム) 約210万人
1984年 約150万人
2019年 約86万人

■参考:第1部 少子化対策の現状(第1章 2): 子ども・子育て本部 – 内閣府

「第1次ベビーブーム」と呼ばれた1974~49年ごろと2019年を比較すると、出生数は3分の1ほど。

全国の世帯のうち、18歳未満の子供がいる世帯は、約2割強というデータもあります。

鯉のぼりを上げるのは男児がいる世帯だけであり、しかもすべての家が飾るわけではないので、見かける確率が低くなるのは納得です。

※出生数とは、生まれた子供の数のこと。

【理由.2】鯉のぼりを飾る場所が無い(庭が狭い・禁止されている)

小さい男の子を育てる世帯は、アパートやマンションに暮らすケースが増えています。

普通の鯉のぼりは庭にポールを立てて飾るのが常識ですから、住宅事情の面でそもそも物理的に不可能な状況に……。

以前は集合住宅のベランダに鯉のぼりを飾る光景も見られましたが、最近では

  • 風などの影響で階下に落下する
  • 隣室などから騒音の苦情が出る
  • ハミ出して隣室や階下の日当たりを遮る
  • 景観を損ねる

といった理由から、禁止されるようになっています。

困り顔(男)

飾りたくても、飾る場所がない

という事情から断念する人が増えているのも鯉のぼりの姿が減っているひとつの要因です。

【理由.3】男児がいることを周囲に知られてしまう

鯉のぼりは男児が元気に育つようにと、江戸時代に始まった風習です。

つまり、鯉のぼりを飾る家には、男児がいるという証明になるんですね。

それが大げさに言えば個人情報の漏洩になると、警戒する人もいるそうです。

私からすると、そんなのナンセンスじゃないかと思うんですけどね。

家の敷地に子供用の自転車が置いてあったり、子供の洗濯物を干していればとっくにバレバレじゃないですか?

外野がどうのこうのいっても、過度に自衛意識が強い人が鯉のぼりを敬遠するのは事実のようです……。

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【理由.4】子供がいる幸福アピールになる

昨今は、少子化が進むだけでは留まらず、生涯の独身率もゆるやかに上昇しています。

一生結婚しない「生涯独身率」は、男性の場合、今後3割になる予想も。

つまり、3人に1人弱くらいは一生独身なんですね。

鯉のぼりを飾るのは、結婚と子宝に恵まれたという2つ意味を周囲に誇示する行為ともいえます。

だからといって、独身者が鯉のぼりを非難するわけではありませんが、飾る側が周囲の目を気にして自粛する気持ちになってもおかしくありません。

【理由.5】見栄の張り合いになる

鯉のぼりは、それぞれ商品によって値段の開きがあります。

「ピンからキリまで」というほど、値段の差があるわけではありませんが、自宅の鯉のぼりと他人の鯉のぼりを価格の面で比較してしまうのが人の心理。

若い男性

○○さんの家は○万円くらいの鯉のぼりを飾ってる

若い女性

ウチの鯉のぼりのほうが高いわよ!

など、ついつい見栄の張り合いになってしまうのも仕方ありません。

それが嫌で最初から鯉のぼりを飾るのを避ける人もいるのではないでしょうか。

【理由.6】鯉のぼりを飾らない環境で育った親が増えた

そもそも「鯉のぼりを飾る」気がない夫婦が増えているのでは?

実家が狭くて鯉のぼりを飾ってもらったことがない父親なら

若い男性

自分の子供には飾ってあげたい

と思うか、その逆で

若い男性

鯉のぼりなんて別に要らないだろう

と思う人の2つのタイプに分かれるはず。

でも、たぶん後者のタイプのほうが多いような気がするんですよね。

【理由.7】鯉のぼりを家の中で飾る家庭が多い

アパートやマンションで暮らす家庭の場合、人目につく外に飾るのではなく、室内でミニ鯉のぼりを飾っているのではないでしょうか。

また、一軒家にお住まいの方も庭のスペースや諸々の理由から室内に飾るケースも多いのでは?

なんでも、鯉のぼり全体の出荷数のうち、3割以上が室内用が占めているそうです。

これからは、室内用がメインになるかもしれませんね。

よその家の鯉のぼりを鑑賞したい私からすると、なんとも残念な気分になりますが……。

【理由.8】核家族化で祖父母が同居していない

高価な鯉のぼりをホイホイと気兼ねなく買うのは、だいたいが孫を溺愛する祖父母の役割。

しかし、最近は核家族化が進んで、子供世帯と親世帯は別々で暮らすのが普通に。

となると、

中年男性

鯉のぼりを買ってあげようかね

と申し出るスポンサーがいないので、飾る世帯は減っていくのは当然です。

また、鯉のぼりの知識を持ち、出したりしまったりする日頃の世話をする人が同居していないのも減少に拍車をかけているのでしょう。

【理由.9】鯉のぼりを毎日出したり片付けたりが面倒くさい

鯉のぼりは雨の日や夜には片付けるのが理想です。

しかし、これが面倒な作業で……。

共働きの世帯では、そんな手間がかかることをしている時間はないでしょう。

その点、祖父母が同居していれば鯉のぼりを「世話をする係」になってくれるのですが、上記の核家族化がそれを阻んでいるというわけですね。

【理由.10】鯉のぼりが高価で家計が苦しいから用意できない

最近よくニュースで見かける貧困問題。

日本経済の悪化や、離婚率の上昇で十分な収入が得られていない家庭が増えています。

困り顔(女)

給食費が払えない……

なんて声も聞こえてくるくらいなので、深刻なのでしょう。

そんな家計が苦しいなかで数万~数十万もする鯉のぼりを用意するのは無理な話。

飾りたくても飾れない家もあって、鯉のぼりが絶滅危惧種になっているのかもしれません。

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まとめ

鯉のぼりを見かける機会が減っている裏には、様々な事情があります。

場所的な問題、経済事情、家族の在り方の変化、世間体などなど。

昔は早いと4月下旬には、あちこちで鯉のぼりが泳ぐ姿が見られました。

でも、今では都会では稀で、田舎に行くとやや増えてくるかな?という状況です。

令和に生まれてくる子供にはもう

屋根より高い鯉のぼり~♪

という歌はピンとこなくなると思うと、昭和生まれの私は若干切なくなりますね。

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