- 「藍」は名前に良くないのでしょうか?
- 「藍」は「ぼろきれ」の意味がある、また「蓼食う虫も好き好き」の諺を連想させる点から名前に良くないと言われています。
女の子に付けると日本的な美しさを感じさせる「藍」。
男の子に付けても落ち着いた印象を相手に与えるため、命名に好まれる漢字です。
しかし、一部の方からは「名前には良くない」との反対意見も。
そこで今回は
- 「藍」が名前に良くない理由
- 「藍」が名前に適するワケ
- 「藍」の現在の人気度
をご紹介します。
これを読めば「藍」を名付けに採用するか最終決断ができるはずですよ。
「藍」が名前に良くない5つの理由
「藍」が名前に良くないと言われる理由は、この5つです。
- ぼろきれの意味がある
- 「蓼食う虫も好き好き」を連想する
- 特定のカラーを押し付けることになる
- 角張った漢字で可愛らしさがない
- ひねった感じがしていやらしい
ぼろきれの意味がある
「藍」が名前に良くない理由の1つ目が、「ぼろきれの意味がある」ため。
「ぼろきれ」とは、使い古した布のこと。
意外なことに「藍」を辞書で調べると、「ぼろ」・「ぼろきれ」の意味があることが分かります。
「篳路藍縷」という四文字熟語
篳路藍縷(ひつろらんる)という四文字熟語があります。
それぞれの意味がこちら。
- 篳路(ひつろ):植物の柴を編んで作った粗末な車のこと
- 藍縷(らんる):穴が空いたり破れている着古した衣服のこと
篳路藍縷とは、貧しい身なりと道具で、苦労しながら仕事に励むことを意味します。
江戸時代には農村部でも藍染の着物は汚れが目立たない性質から、作業着として愛用されていました。
また、渋染や藍染の衣類以外の着用を禁じられた農民たちが起こした「渋染一揆」も歴史に残っています。
そんな事実から、「藍=ぼろ」のイメージがあり、その結果として藍の漢字にネガティブな色が足されたようです。
「蓼食う虫も好き好き」を連想する
「藍」が名前に良くない理由の2つ目が、「『蓼食う虫も好き好き』を連想する」ため。
藍染に使う「藍」は、タデ科の植物のこと。
そこから「人の好みは、ひとそれぞれ」を意味する『蓼食う虫も好き好き』を連想する人もいます。
そもそもこのコトワザの意味は、以下のようにあまり良い意味ではありません。
↓
人の好みはさまざま
↓
男女間においては「物好き」を表す
つまり、自分にとっては容姿や性格が好ましく思えない異性でも、ある人にとっては魅力的に映るということですね。
同じタデ科でも別の種類を指す
「蓼食う虫も好き好き」の蓼は「柳蓼(ヤナギタデ)」を指します。
一方、藍染に使う蓼は「藍蓼(アイタデ)」を指します。
厳密に言えば同じタデ科でも別の種類なんですよ。
ですから、「蓼食う虫も好き好き」のことわざを気にする必要はありません。
特定のカラーを押し付けることになる
「藍」が名前に良くない理由の3つ目が、「特定のカラーを押し付けることになる」ため。
「藍」といえば深くて濃い青色を誰でもイメージします。
そんな特定の色を子供に押し付けていいのかな?
と思慮深い人は考えるようです。
たしかにいくら良い色でも、人によって好みは分かれます。
特に女の子にブルー系統の色を意味する漢字を付けるのは「いかがなものか?」と反対する人もいるんですね。
女の子ならピンク(桃色)など暖色系が似合うと思うのは、古臭い価値観の押し付けなような気もしますが。
角張った漢字で可愛らしさがない
「藍」が名前に良くない理由の4つ目が、「角張った漢字で可愛らしさがない」ため。
「藍」の漢字は曲線がいっさいなく、直線と直角のみで構成されています。
漢字の見た目から「堅い」という印象を受ける人が多いのではないでしょうか?
「藍」は女の子の名前候補に挙がることが多いですが
カクカクした形で見た目が好きじゃない
と感じて敬遠する人もいるようです。
ひねった感じがしていやらしい
「藍」が名前に良くない理由の5つ目が、「ひねった感じがしていやらしい」ため。
「藍」は「あい」と読ませる命名で使われるケースが多いですが、「あい」といえば真っ先に浮かぶのが「愛」。
なぜ「愛」というポピュラーで良いイメージがある漢字を使わずに、あえて「藍」を使うのか?
そんな名付け親のひねったセンスを揶揄する声もあります。
とはいえ、一般的な漢字ではなく同音の別の漢字を当てる名前はたくさんあるため、そんな外野の声は無視していいでしょう。
「藍」が名前に適するワケ
外野からはああだこうだ言われそうな「藍」ですが、こんな名前に適するワケもあるんですね。
- 親より優秀な人になってくれそう
- 「ジャパンブルー」の名で世界で人気がある色
- クールな印象を与えられる
親より優秀な人になってくれそう
「藍」といえば「青は藍より出でて藍より青し」のコトワザを思い出す人も多いはず。
このコトワザは中国の古い書物が出典とされ、こんな意味があります。
↓
師よりも弟子のほうが優れる例え
↓
教えた人よりも教えを受けた人のほうが優秀
これを「親」と「子」に当てはめると、親よりも子のほうが優秀になるというわけですね。
学歴や仕事にコンプレックスがある親からしたら、子供は親よりもいい学校・いい仕事についてくれたら嬉しいはずです。
「ジャパンブルー」の名で世界で人気がある色
明治の頃に来日したイギリス人のとある科学者が、藍染の青を見て「ジャパンブルー」と名付けました。
それほど日本の藍染の青は独特の色で、外国人からすると美しく見えたのでしょう。
そんな色を意味する「藍」を名前に付けたら、世界に飛び出しても一目置かれるような、そんな存在になってくれそうです。
クールな印象を与えられる
クールといえば、冷静沈着で動じない様子のこと。
色でいえばやはり「青」でしょう。
「藍」の名前からは、そんなクールでいて知的な印象を受けます。
同音の「愛」は色でいえば赤で、情熱的な印象。
「藍」はその反対で、いつも落ち着いて的確な判断ができるような人物像を描くことができます。
どちらが良い悪いではなく、どちらも素晴らしいと思います。
「藍」の現在の人気度
「藍」は現在、世間では命名用の漢字としてどれほど人気があるのでしょうか?
以下の2つのデータから探ってみました。
- 赤ちゃんの命名ランキング
- 「藍」が名前に入っている有名人
赤ちゃんの命名ランキング
大手機関が前年度に生まれた赤ちゃんの命名ランキングを発表しています。
その上位100位に「藍」はランクインしていたのか、確かめてみました。
性別 | 順位/名前 |
---|---|
女の子 | ランク外 |
男の子 | 50位/藍 |
意外なことに女の子の名前にはひとつも入っていません。
逆に男の子には50位となかなか上位にランクインしていました。
読み方はおそらく「らん」くんですね。
「藍」が名前に入っている有名人
「藍」の漢字が名付けに人気なら、有名人にもきっとその名を持つ人がいるはず。
そんな推測のもと、下の名前(姓名の名)に「藍」が入っている有名人を集めてみました。
女性有名人
- 佐藤藍子:タレント
- 宮里藍:元プロゴルファー
- 長山藍子:俳優
- 芹川藍:俳優
- 野中藍:声優
男性有名人
- 髙橋藍:バレーボール選手
多くの人が知ってそうな人となると、案外少なくてびっくりしました。
まとめ
「藍」が名前に良くないのは
- ぼろきれの意味がある
- 「蓼食う虫も好き好き」を連想する
- 特定のカラーを押し付けることになる
- 角張った漢字で可愛らしさがない
- ひねった感じがしていやらしい
以上の5つの理由からでした。
藍にぼろきれの意味がある事実を知ってるのは、ほぼいないので気にする必要はありません。
「蓼食う虫も好き好き」も藍染の蓼とは違う種類なので無視してOK。
それ以外の理由も名付け親であるあなたの判断次第です。
個人的な結論としては「藍」は命名にふさわしい漢字だと思いますよ。