「思い」と「想い」の使い分けが出来ていますか?
それに「念う」という書き方もあって、文章を書くときに混乱してしまう人がきっとたくさんいるはずです。
そこでここでは
- 思いと想いの使い分け
- 思いと想いと念いの違いや意味
- 思い描くVS想い描く、正しいのは?
- 歌詞ではどちらが多く使われているか?
などをまとめてみました。
含まれたニュアンスや意味の差を知ると、自然に上手く使い分けがデキるようになりますよ!
思いと想いの使い分け方【実例集】
文章を書くとき様々な場面で「おもい」という単語が出てきますが、どっちを使ったらいいんだろう?と迷ったときに役立つように、使い分け方の実例を挙げます。
- 彼の思い通りには運ばない
- それは勝手な思い込みだった
- 目標達成の報告は思い違いだったと判明した
- あなたが言うことは誰も信じないと思います
- お得意様からの思いがけない提案に戸惑う
- 移籍する予定だったが、思いとどまったようだ
- 楽しかった高校時代を思い浮かべて泣いた
- 飲み会からやっとの思いで脱出した
- 発表会で悲しい思いをした
- アルバムをめくりながら物思いに耽る
- 子ども思いな彼が好き
- 私の片想いの相手
- 小さかった頃を想う
- 将来を悲観して想うこと
- 好きな人を想う
- 想い人は誰ですか?
- 望郷の想いを語るインタビュー
- 憧れだった先生に自分の想いを伝えたい
- 遠距離恋愛は想いが募るものだ
- 田舎を離れてから両親を想うことが増えた
- 想いを込めた演奏に観客が全員泣いた
もうひとつちょっとマイナーな「念う」ですが、こちらは強くかみしめるほどの特別な「おもい」を表現する際に使います。(念仏という字から想像できるように)
ですから、ほぼ使う機会は無く、基本的に「思う」と「想う」さえ使い分けが出来ればOKですよ。
「思い・想い・念い」の違いとは?
それでは思いと想いと念いのそれぞれの違いを簡単に分かりやすくご説明します。
【思い】
自分の考え。論理的・感情的に考えていること。
私はこう考えている/こう感じていることを「思う」と表現する。
【想い】
感情として感じていること。
懐かしい・憧れる・恋焦がれるなどの強い感情がこもった心情を「想う」と表現する。
【念い】
「自責の念」や「畏敬の念」のように、強い気持ちのこと。
「思い」は論理や感情の両方の意味を含むため、「想い」を使う場面でも代用できるんです。
実際、辞書をひいてみても「すべて同じ意味を持つ表現」だと書いてあるので、どれを使ったとしても文法上は間違いではありません。
ただし、「想う」は学校では教えられない漢字で、「常用漢字」にも入っておらず、そのため新聞でも使われることも知っておいたほうがいいでしょう。
「思い描くVS想い描く」どちらが正しい?
「おもいえがく」という表現は小説などでよく使われますし、私たちも文章を書く際に使いたくなる詩的で美しい言葉です。
この場合の「おもい」は、どちらを使うかというと
⇒思い描く
この「思い」が適しているでしょう。
これは私の意見ですが、「想い」はすでに心の中にあるイメージ(過去)を想うときに適しているのに対して、「思い」は今現在から未来にかけてのイメージを思うときに適していると感じます。
「おもいえがく」は、将来こうなったらいいな!という将来像を心に浮かべることなので、「思い」のほうがしっくりくるし正しいはずです。
Googleでの検索結果の件数はどちらが多いかというと
- 思い描く・・・約 10,100,000 件
- 想い描く・・・約 30,600,000 件
なんと「想い」のほうが3倍も多いのが現実です……。
子ども思いの意味
「私の主人は子ども思いなんです……」などと使われることがありますが、この「子ども思い」とは
⇒子煩悩(自分の子どもを可愛がる)
とだいたい同じ意味です。
ようは「子ども好き」で、休日になれば自分の用事よりも子供との時間を大切にするマイホームパパですね。
なお、この場合の「おもい」は「子供想い」ではなく、「子供思い」が正解です。
それぞれの漢字の成り立ちに秘密あり!
「思い」と「想い」は読みも一緒で、一見すると意味も一緒のように思えます。
しかし、それぞれの漢字の成り立ちの違いを知ると、微妙な意味の違いや使い分け方が理解できるでしょう。
【思】の漢字の成り立ち
「田」は子供の脳の象形、「心」は心臓の象形。ふたつが合わさって「思」になる。脳と心で考えて感じていることの両方を意味する。
【想】の漢字の成り立ち
「木」は樹木の木の象形、「目」は人の眼の象形、「心」は心臓の象形。この3つが合わさって「想」になる。目で見た木のような具体的なイメージを心に描くことを意味する。
つまり、心に浮かんだ感情が「思い」、心に浮かべるイメージが「想い」だと解釈すればいいのではないでしょうか。
「思い」と「想い」の違いを私なりに説明
この漢字に表れる意味の違いをふまえて、あらためて簡潔に「思い」と「想い」の違いを私なりに書くなら
【思い】
⇒自分の意見や感じたこと、そのもの。
【想い】
⇒何か特定の対象を想像して浮かべること。
と、こうなります。分かっていただけたでしょうか?
具体例を挙げると、もっと分かりやすいですよね。
たとえば、こんな風に両者は使い分けされます。
- 故郷が懐かしいと思う
- 故郷を懐かしく想う
前者の「思う」は
⇒故郷が懐かしいなぁ~と思い出して感じている自分の感情
なわけですが、
後者の「想う」は
⇒懐かしい故郷を心にイメージしている状態
のことですよね。これこそ端的に両者の違いを表す好例だと思います。
歌の歌詞に見る「思う」と「想う」の対比
そういえば歌の歌詞にはよく「想う」が使われていた気がします。
そこで歌詞検索サイト「歌ネット」で両者がどれくらい歌詞で使われているのか調べてみました。
歌詞の中で「思う」と「想う」が使われている件数
「思う」が使われている件数・・・8863件
「想う」が使われている件数・・・3548件
「思い」が使われている件数・・・33294件
「想い」が使われている件数・・・28111件
意外にも情緒的な歌詞に使われていそうな「想い」よりも「思い」のほうが多く使われていました。
まとめ「思い出か想い出か?あなたはどっち?」
小学校や中学校の文集にありがちなタイトルが「おもいで」ですが、これを漢字で書くなら、どっちの漢字を選びますか?
試しにグーグルで検索すると
- 思い出・・・約 44,800,000 件
- 想い出・・・約 2,340,000 件
と、このように圧倒的に「思い出」の方が使われている件数が多いようです。
ついこの間、劇場公開されたスタジオジブリの映画『思い出のマーニー』の影響が強いのかもしれません。
想い出というと「想い出がいっぱい」という曲が思い浮かびますね♪