- 「悠」を使った名前は良くないって本当ですか?
- 漢字の意味には一部ネガティブな点もありますが、それは受け取り方次第。
世間の大半の人がポジティブなイメージを持つ漢字なので、子供の名前に使うのは問題ありません。
「ゆう」の響きの良さや、「悠久」のイメージの良さから名付けに使う親が増えています。
しかし、一部では「名前に使ってはダメ!」とのウワサも……。
そこで、この記事では
- 「悠」は名前に良くない理由
- 「悠」は名前に使って良い根拠
- 「悠」の欠点をゼロにするヒント
などをご紹介します。
「悠」の名前が良くない6つの理由
世間で「悠」の名前が良くないと言われるのは、この6つの理由から。
- 子供が「遠いところ」に行ってしまう
- 「悠」=「憂」だから
- 「悠長」の悪いイメージが強い
- 他の漢字と組み合わせると読みにくい
- 男の子向きの漢字だから女の子には向かない
- 最近増えた名前だからキラキラネームっぽい
私が独自にリサーチした結果ですが、ずばり核心をついていると思います。
では、ひとつずつチェックしてみてください。
子供が「遠いところ」に行ってしまう
一部の人は、「悠」の漢字を名前に使うと
- 子供が遠いところへ行ってしまう
- 子供が親から離れてしまう
だからやめたほうがいいと考えます。
そのわけは「悠」という漢字が持つ意味にありました。
音読み | ユウ |
訓読み | はる(か)・とお(い) |
意味 | はるか とおい |
■参考:「悠」の部首・画数・読み方・意味 – goo漢字辞典
このように「はるか・悠久」といった壮大な意味の延長として、「遠い」も含まれるんですね。
その証拠に「悠」には以下のような熟語が存在します。
- 悠遠・悠隔:遠く離れている様
- 悠闇:遠く離れていて分からない様子
ですから、「我が子と離れ離れになる」、そんな悪い意味にも解釈できます。
「悠」=「憂」だから
「悠」の漢字は、「憂」の漢字と同じ意味を持つから、名前にふさわしくないとする意見です。
「憂」といえば「憂鬱」の「ゆう」であり、「憂える(うれえる)」など、ネガティブな表現に使われる漢字ですね。
「憂える(うれえる)」は
を意味し、その状態は「動揺する・動揺している」とも受け取れます。
その証拠に、古代中国の漢字辞書『説文解字』には
「悠」は「憂」である
と書いてあるそうです。
しかし、現在の日本の漢字辞典の「悠」の項目には、「憂える」や「動揺する」といった意味は書かれていません。
古代中国の辞書まで気にする人はともかく、現代に生きる我々にとっては無視していい情報だと思いますよ。
「悠長」の悪いイメージが強い
「悠」を使った熟語に「悠長」があります。
悠長とは、落ち着いていて、気が長いとか、のんびりしているといった意味。
本来は「デーンとかまえて何事にも動じない」みたいな良い意味があるかもしれませんが、最近ではネガティブな意味で使われることが多い気がします。
勉強を悠長にやってないで、さっさと終わらせなさい!
あいつは仕事のやり方が悠長で、使えないよ
などなど、「度が過ぎたノンビリ屋」さんを指すような。
ただ、言葉の意味の解釈は表裏一体の面があります。
落ち着きのある大人になってほしいと願うなら、「悠」の字はぴったりでしょう。
他の漢字と組み合わせると読みにくい
「悠」の漢字をシンプルに一文字だけ使って
と命名するなら、100%誰にでも間違いなく読んでもらえる名前になります。
しかし、どうしても「悠」を使いたいけど
他人の子供とかぶるのはなるべく避けたい
そんな理由から、他の漢字と組み合わせると途端に読みにくい名前になってしまいます……。
たとえば、私が個人的に一発で読めなかったのがこちら。
- 悠吏(ゆうり)
- 悠天(ゆうま)
- 悠喜(はるき)
- 真悠(まはる)
- 悠央(はるちか)
- 悠玖(はるく)
- 悠琉(はる)
- 史悠(しゅう)
- 貴悠(たかはる)
- 悠光(はるひ)
- 悠杜(ゆうと・はると)
とてもじゃないですが、フリガナがないと正しくは読めません……。
ただ、これも「悠」の使い方次第。
命名するまえに周りの人に訊いてまわって、一発で読めるかどうか確かめて、読めない場合は避ければいいことです。
もちろん、簡単に読めない名前でもかまわないと思うのは個人の自由ですが……。
男の子向きの漢字だから女の子には向かない
「ゆう」の響きは、男の子でも女の子でも違和感がありません。
しかし、「悠」の漢字から受け取るイメージは
- 悠久
- 悠然
- 悠々自適
など、どちらかというと男性らしさを感じますし、「悠々自適」にいたっては定年退職した高齢男性を思い起こさせます。
その証拠に2021年の名前ランキングでは、男の子の名前としては
- 7位:悠真
- 17位:悠翔
- 29位:悠
- 45位:悠人
- 51位:悠斗
- 61位:悠太
- 72位:悠生
このように7種類もランクインしていますが、女の子の名前としては1つもありません。
「悠」って、女の子の名前には良くないわ……
なんて言う人もいるかもしれません。
最近増えた名前だからキラキラネームっぽい
「悠」を使った名前の歴史をざっとまとめるとこうなります。
- 1976年:人名用漢字に追加される
- 2006年:秋篠宮家の長男「悠仁さま」が誕生
- 2013年:悠真が男子の名前ランキング1位になる
「悠」が名前に使える漢字になったのは、もうかれこれ50年近く前のこと。
ですから、意外と歴史は古く、50代以下の人は友達にいてもおかしくありません。
しかし、人気度はいまいちで、グーンと「悠」を使った名前が増えるのは2006年に秋篠宮家の長男(悠仁さま)に命名されてから。
この「悠仁さま誕生」をキッカケに注目され、ついには2013年に名前ランキングで「悠真」が1位になりました。
つまり、「悠」を使った名前が当たり前になったのはつい最近であり、まだまだ「新しい名前」感はぬぐえません。
20~30代の親たちには違和感がなくても、50代以上の祖父母世代にとっては
「悠」はキラキラネームみたいで、あんまり名前には良くないな……
と思われる可能性があるんですね。
「悠」は名前に良い決定的で間違いない根拠
秋篠宮文仁親王と文仁親王妃紀子様の第一子は、「悠仁(ひさひと)」様と命名されました。
「悠」の字を選ばれた理由は
「ゆったりとした気持ちで、長く久しく人生を歩んでいくことを願って」
■引用:悠仁親王 – Wikipedia
とのこと。
くわしい内部事情は不明ですが、もし「悠」が縁起が悪かったり、名前にふさわしくない漢字だったら使われていないはずです。
つまり、天皇家の命名に使われていることが、名前に使っても問題がない最大で決定的な根拠です。
「悠」の欠点や不安な点をゼロにするヒント
いくつか気になる点がある「悠」の字。
そのわずかな欠点をゼロにするために、こんな方法を提案します。
「悠+○」の名前にする場合は有名人と同名にする
「悠」と他の漢字を組み合わせると、読みづらい名前になりがちです。
奇抜な組合せにすると一気にキラキラネーム感が出ますし、名付け親の両親にも不評を買うかもしれません。
それを避けるには、すでに見慣れた「悠」を使った名前の有名人を参考にすること。
「悠」が入った名前の有名人でメジャーなのは、こんな方たち。
- 北川悠仁(きたがわゆうじん)/ゆず(歌手)
- 柳田悠岐(やなぎだゆうき)/プロ野球選手
- 中村悠平(なかむらゆうへい)/プロ野球選手
- 中村悠一(なかむらゆういち)/声優
- 岩佐真悠子(いわさまゆこ)/タレント
- 山田悠介(やまだゆうすけ)/アイドル
- 森下悠里(もりしたゆうり)/タレント
- 原田悠里(はらだゆり)/歌手
- 大橋悠依(おおはしゆい)/競泳選手
- 富川悠太(とみかわゆうた)/アナウンサー
- 矢島悠子(やじまゆうこ)/アナウンサー
- 大沢悠里(おおさわゆうり)/アナウンサー
- 富野由悠季(とみのよしゆき)/アニメ監督
- 設楽悠太(したらゆうた)/マラソン選手
- 野口悠紀雄(のぐちゆきお)/経済学者
実在の人物じゃありませんが、最近ヒットした『呪術廻戦』という漫画/アニメの主人公は虎杖悠仁(いたどりゆうじ)といます。
女の子に付ける場合は「女子っぽい漢字」と組み合わせる
「悠」の単独の漢字だけを見ると、どうしても男の子っぽい印象がします。
それを中和して「女の子らしい」名前にするには、組合せが非常に重要です。
いかにも「女子っぽい漢字」と組み合わせるくらいがちょうど良いでしょう。
たとえば、こんな漢字が候補になります。
- 「愛」+「悠」=愛悠(あいゆ)
- 「亜」+「悠」=亜悠(あゆ)
- 「悠」+「花」=悠花(ゆうか)
- 「悠」+「香」=悠香(ゆうか)
- 「悠」+「佳」=悠佳(ゆうか)
- 「悠」+「月」=悠月(ゆづき)
- 「悠」+「奈」=悠奈(ゆうな)
- 「悠」+「衣」=悠衣(ゆい)
- 「悠」+「乃」=悠乃(ゆうの)
- 「悠」+「梨」=悠梨(ゆうり)
- 「凪」+「悠」=凪悠(なゆ)
- 「紗」+「悠」=紗悠(さゆ)
- 「悠」+「那」=悠那(はるな)
- 「珠」+「悠」=珠悠(みゆ)
これなら一目で「女の子だ」と分かりますよね。
まとめ
悠の漢字が良くないとする理由と、その反論をまとめました。
- 子供が「遠いところ」に行く→受け取り方次第
- 「悠」=「憂」→古代中国の辞書が出典元
- 「悠長」は悪いイメージ→良い意味でいえば「ノンビリ屋」
- 他の漢字と合わせると難読名になる→組み合わせの選択次第
- 男の子向きの漢字である→女子感のある漢字と組み合わせればOK
- キラキラネームっぽい→いずれ見慣れて普通になる
名付けは義父や義母の意見も無視できませんよね。
しかし、悠仁さまが何よりの証拠なので、気兼ねなく命名の候補に入れてみてはいかがでしょうか?