月極駐車場の「月極」ってなぜ「つきぎめ」という読み方をするようになったのでしょうか?
「つきぎめ」なら「月決め」でいいのに、わざわざ難しい「極」という漢字を使う理由や語源がずっと疑問で。
小さい時なんて正しい読み方を知らないから「げっきょく・ちゅうしゃじょう」って読んでましたね……。
今は普通に読めますけど、以前の私みたいな人が多いのでは?
そこで、この記事では
- 月極の由来と語源
- なぜ「つきぎめ」という読み方なのか?
- その漢字が使われる理由
などなど、分かりやすくまとめました。
月極の由来と語源
月極(つきぎめ)はなぜ「極」の字を当てはめて使うようになったのか、その由来と語源から解明していきましょう。
「極」という漢字でパッと連想するのは、北極とか南極などの「極み」という意味ですよね?
しかし、過去をさかのぼると、この「極」には
⇒きめる(決める/決定する)
という意味もあったんですよ。
「会議の日時をきめる」とか「新婚旅行はハワイにきめた」などに使われる「きめる」のことですね。
現在では「きめる」という言葉には「決める」を使うのが普通ではありますが、昔は「極める」という書き方もされていたそうです。
代表例が「月極駐車場」
このように使われていた習慣が、ごく一部に残っているんですが、その代表が「月極駐車場」。
月極駐車場は1ヶ月単位で借りる契約が普通ですよね?
だから「1ヶ月○○○○円で貸しますよ」という約束のもと、駐車場の持ち主と借りたい人の間で取り決めがされるもの。
ためしに辞書で調べてみると、このように解説されています。
つき‐ぎめ【月▽極め】の意味
1か月を単位として契約などをきめること。「月極めの駐車場」「月極めで新聞をとる」
出典:goo辞書
1ヶ月と期間を「決めて」借りるから月極
月極の「極」の由来や語源がまさにここにあったんです。
-
- もともと「極」の字には“きめる”という意味があった
↓
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- 駐車場は「1ヶ月○○○○円」と約束(契約)する形式のもの
↓
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- 「1ヶ月借りる」と極(き)めて借りる駐車場だから
↓
- 「月極駐車場」という表記になった
なお「月極め」の送り仮名の「め」は次第に省略されていき「月極駐車場」という表記が定着していきました。
そのせいで「げっきょく」などと読み間違いをする原因にもなったのですが。
※日本の一部の地域では「月決め駐車場」という名称の駐車場が存在しているそうです。
※同様の使い方で「月極広告」や「月極保育」もあります。
「極める」=「きめる」という使い方は現代では珍しい
こうした「極」の使い方は現在ではほとんど知っている人がいないので、ごく一部のみに残されているだけです。
今お使いのワープロソフトで「きめる」を変換してみてください。
たぶん変換候補の下の方に「極める」も出てくるはずです。
そのように使い方としては正しいのですが、「極める」=「きめる」という認識(使い方)がされていたのは戦前まではだそうです。
その証拠に「極」を使った用語は今でもいくつか残されています。
- 取極め(とりきめ)・・・決定すること、約束したこと
- 極め出し(きめだし)・・・相撲の決まり手のひとつ
- 極め倒し(きめたおし)・・・相撲の決まり手のひとつ
- 極め所(きめどころ)・・・決めるのに良いところやタイミング
大相撲ファンには決まり手のひとつとして、テレビなどで見かける機会があるかもしれませんね。
日極の意味とは?
月極と似たような表記で「日極」があります。
こちらの意味は、月極が「月単位の決めごと」なのに対して
⇒日単位の決めごと
を指します。
つまり何かを借りたりするときに「一日あたり何円で貸すか(借りるか)」という取り決めのことですね。
「月極さん」が経営する全国ネットワークの駐車場?
私の知り合いに、あの月極駐車場を「月極さん」という名前の人が経営する全国ネットワークの駐車場チェーンだと思っていた人がいます。
まるでタイムズみたいな。
家のそばにも旅行で出かけた県外にも至るところにあるので、そんな勘違いをしたらしいです(笑)
まぁ意味を知らないとそんな勘違いをするのも無理はないかもしれませんね。
恥ずかしい勘違い例
- 「月極」という苗字の人が運営している
- 株式会社「月極」が運営している
こんな誤解をしていた人、意外にたくさんいるのでは?
月極め駐車場とコインパーキングの違いって?
ついでにといってはなんですが、こんな疑問もありませんか?
タイムズなどが有名なコインパーキングと月極駐車場はどう違うのかと。
この違いを簡単に説明すると
- 月極駐車場・・・基本的に1ヶ月単位で借りる形式
- コインパーキング・・・○分~○時間~○日という短期で借りる形式
コインパーキングは1日単位や分単位で借りるのだから、「日極」とか「分極」と呼べばいいのに、そうしないのはなぜなのかは判明しませんでした・・・・・
月単位の駐車場にだけ今もこうして使われ続けているのが不思議で仕方ないです。
モータープールってなんやねん!?
昔、バイト先に関西出身の人がいたんです。
その人が時々、会話のなかで「モータープールがどうのこうの」と話すので最初は不思議だったんですが、それがだんだん駐車場を意味する言葉なんだとわかってきました。
この人、帰国子女なのか?
と一瞬思いましたが、英語では駐車場をモータープールとは呼びません。
どうやらこれ、関西や西日本だけで使われる独特の言い方みたいですね。
関東出身の私としては、そんな言い方はそれまで一回も聞いたことがなかったですから。
まとめ
月極の由来と語源についてまとめてきました。
あらためて要点を振り返ると
- 「極」は昔「きめる」という意味で使われていた
- 月極駐車場は「月単位の決めごと」で借りる契約だから
- 現在でも「極める」という使い方は一部で残っている
こういう言葉の由来とか語源を調べるのって楽しいですね。
当たり前ですが、そこには納得できる理由が隠れていますので。
昔のTV番組に「まんがはじめて物語」というのがあったんですが、そんな好奇心が蘇ります。