鮭をなぜシャケと呼ぶのか不思議ですね。
どこかの訛り言葉なのか、それとも別の種類なのでしょうか?
最近ではサーモンもポピュラーになってますけど、これも鮭とどう違うのか知ってる人は少ないはず。
そこでこの記事では
- 鮭をシャケとなぜ呼ぶのか?
- 鮭とシャケとサーモンの違い
といった地方によって呼び方が違う方言なのか、語源はどこから来ているかなど、鮭・シャケ・サーモンの疑問をすべて解決していきます。
鮭をシャケとなぜ呼ぶ?3つの諸説
なぜ「鮭」と「シャケ」という2種類の呼び方があるのでしょうか?
これには以下の3つの諸説あります。
- 東京弁が由来説
- 鮭の状態によって呼び名が変わる説
- アイヌ語が由来説
どれが正しい説なのかは誰にも分かりません……。
では「鮭とシャケの二種類の呼び名が生まれた3つの説」のななかで、どれが信憑性が高いか、ご自身でジャッジされてください。
諸説その1.東京弁が由来説
シャケはもともとは東京ローカルの東京弁だったという説です。
いわゆる方言ですね。
方言というと関東以外の地域にしかないように思えますが、実は関東(東京)にもちゃんと方言があるんですよ。
関西弁ならぬ「江戸弁」とも呼ぶべきもの。
ヨソの地方から移住してきた人ではなく下町に何世代にも渡って暮らしているような「ちゃきちゃきの江戸っ子」が話す言葉のことです。
たとえば、代表的なところでは「ひ」という発言を「し」と発音してしまうような話し方。
コーヒーを「コーシー」、干潟を「しがた」など。
そのひとつとして鮭をシャケと発音するという説になります。
なんでも昔の江戸弁では「しゃ」と発音が多く使われていたため、鮭をシャケと呼ぶのが当たり前だったとか。
ただし、マルハニチロの調べによると鮭をシャケと呼ぶのは関東だけじゃなく、全国的に見られ、その割合は
- 鮭と呼ぶ地方・・・4割弱
- シャケと呼ぶ地方・・・6割強
という結果でした。
なので「シャケ=江戸弁」は非常に根拠薄弱と言わざるを得ません。
諸説その2.鮭の状態によって呼び方が変わる説
2つめの説は、鮭の状態によって呼び方が変わるという説です。
つまりこういうことです。
- 川に泳いでいる状態が鮭(サケ)
- 加工品になるとシャケ
言われてみればクマが遡上する鮭を獲る姿を見るときは必ず「鮭(さけ)」と呼んでいます。
でも、魚屋の店頭に並ぶ鮭の切り身や瓶詰めになった鮭フレークを見るときは「シャケ」と呼ぶことが多い気がします。
鮭(さけ)って意外と言いにくいので、頻繁に口にするような食卓の上では言いやすいように「シャケ」と呼ばれるようになったと思えば納得しやすいでしょう。
「塩ジャケ」・「紅ジャケ」のように頭に何か付いたあとのサケの呼び方は必ず「じゃけ」となりますよね?
そこから「単に呼びやすい」からサケからシャケという呼び方が生まれたという説もあります。
ただ、これも「そういう気がする」というだけで、根拠としては弱いですね……。
諸説その3.アイヌ語が由来説
3つめの説がアイヌ語が由来とする説です。
アイヌ語で夏を意味するのが「シャク」。
このシャクが語源となってシャケという言葉ができたという説です。
北海道では「シャケ」と呼ぶ人のほうが多数派なので、アイヌ語を語源としている説が有力かもしれません。
鮭とシャケの違いとは?
ある人は鮭と呼び、ある人はシャケと呼ぶ。
私は鮭(さけ)と呼ぶことが多いですが、これって、単に呼び方の違いなのか、そもそも魚の種類自体が違うのでしょうか?
これはズバリ、鮭とシャケに違いは一切ありません!
鮭とシャケは言い方が違うだけで、まったく同じ魚を指します。
ですから味もまったく変わらず一緒のものです。
その証拠に辞書で「シャケ」を引いてみると
しゃけ【×鮭】
「さけ(鮭)」に同じ。
出典:goo辞書
と、このように「2つは同じものですよ」ということをご丁寧に説明してくれています(笑)
鮭・シャケ・サーモンの違いはどこにある?
鮭とシャケが同一のものだということは分かりました。
もうひとつ、英語では「サーモン」という存在があります。
このサーモンと鮭(シャケ)に違いはなく、まったく同じものです。
鮭の英語名がサーモン(Salmon)というだけで、まったく同一の魚なんですよ。
スモークサーモンが有名ですよね。
ですが、ひとつ注意しないといけないのは、回転寿司やスーパーで売られている寿司のネタとして使われているサーモンは鮭ではないんです。
驚愕の事実ではないでしょうか?
回転寿司の「サーモン」は鮭ではありません!
スーパーで売られているサーモンの刺し身や回転寿司の「サーモン」は「鮭(シャケ)」だと思っている人が大多数のはず。
実はこれらのサーモンは「鮭(しゃけ)」ではありません。
寿司ネタとして使われているサーモンの正体は
⇒サーモントラウト(トラウトサーモン)
と呼ばれる鱒(ます)の一種を養殖して育てたものなんです。
つまりサーモン風の鱒ってことですね。
このサーモントラウトは日本風に言えば「ニジマス」のこと。
本来は淡水魚のニジマスを海のいけすで養殖したものをサーモントラウトと呼ぶんですね。
本当なら正式名称であるサーモントラウトと呼ぶべきですが、「サーモン」と略して呼ぶため、誤解している人がほとんどではないでしょうか?
私も知らなかったですし、知った時は一種の詐欺ではないかと思ったくらいです。
なぜ本当の鮭を使わずに鱒の一種を寿司ネタにするかというと、生鮭というのは「アニサキス」という寄生虫が多くて食べられない裏事情があるため。
<サラダにすると激ウマなアトランティックサーモンの切り落とし>
鮭を「秋味・秋鮭」と呼ぶ地方も
ためしに「あきあじ」を漢字変換してみてください。
「秋鮭」が変換候補にありますよね?
この秋味、または秋鮭は両方とも北海道での鮭の呼び方の一種なんです。
秋に獲れる旬の魚「鮭」を「あきあじ(秋味・秋鮭)」と表現するんですね。
北海道ローカルの方言とも言えますが、鮭・シャケ以外にもこんな呼び方がされているのは道外では知られていないでしょう。
私も今回初めて知りました。
まとめ
鮭をなぜシャケと呼ぶのか、サーモンとはどう違うのか解説してきました。
あらためて今回の疑問の答えを振りかえると
- 鮭とシャケは同じもの
- シャケの別称があるのは江戸弁説・アイヌ語説・状態説など諸説あり
- 寿司ネタのサーモンは鮭ではなく鱒の一種(トラウト)
ということで納得いただけたでしょうか?
つい先日、スシローという回転寿司に行ってサーモン寿司を食べたんですが、あれって鮭ではなくてニジマスだったんですね。
今度行った時はこの知識をみんなに教えようと思います。まぁ、鮭でなかろうと味が好きだから次も食べると思うので。