移動と異動の使い分けって、難しいですよね?
そもそもこの2つがどう違うのかもよく分かっている人は少ないですし……。
「こういうときはどっちを使えばいいんだろう?」と悩む熟語の代表ではないでしょうか?
引越しをする際の住民票の「イドウ」はどっちが正しい表記なのか、勤務地を「いどう」するときはどっちを使うべきなのか、いざとなると迷うでしょう……。
そんなこの異動と移動の意味の使い分けや違いについて、じっくりと解説していきます。
異動と移動の使い分け【具体例で紹介】
職場で地位や勤務する部署が変わるとき
職場で地位や勤務する部署が変わるときは「異動」を使います。
具体的な用例を挙げます。
- 人事異動
- 部署異動
- Aさんは本社から支店へ異動になった
ある場所から別の場所へ移るとき
ある場所から別の場所へ移るときは「移動」を使います。
具体歴な例を挙げます。
- 車の移動をお願いする
- 朝礼のため体育館へ移動する
- 移動販売
- 移動電話
異動と移動の違いを簡単に解説
異動と移動はどんな違いがあるのか、もっとわかりやすく私なりに解説するために、こんな一文を作ってみました。
異動と移動の違いが一発で理解できる例文
勤務する場所が異動になったので、住まいを寮からアパートへ移動することになった
東京の会社で働いていたサラリーマンが春の人事で関西へ異動することを命じられ、それまで会社の寮暮らしだったのが、普通のアパートへ引っ越すことになり家財道具一式を移動しなければならなくなった。
そんなケースを想定して例文にしてみました。
異動と異動の違いが明確になる良い例だと思います。
つまり、端的に表現すると
異動と移動の違いとは?
- 【異動】・・・概念としての場所を移ること
- 【移動】・・・物理的に場所を移ること
と、こうなります。
勤務地が異動になる場合、本部から支店Aなど働く場所が変わるとしても、その物理的な引越しを伴う移動を指すのではなく、配置転換そのもの(概念としての移動)を指します。
ですから「異動」を使うのが正解なんですね。
異動の意味
【異動】の意味を国語の辞書にあたって調べてみました。
い‐どう【異動】
[名](スル)1 職場での地位、勤務などが変わること。また、転・退任などの人事の動き。「総務課へ―する」
2 物事に、前の状態と違った動きが起こること。
「昨日と何も―がないというのかね」〈啄木・病院の窓〉3 保険契約で、保険期間の中途で契約内容について変更が生じたとき、保険会社に通知して契約条件を変更すること。また、現行のものと違う内容の保険契約に移ること。
出典:goo辞書
こちらは色々と意味がありますが、1で説明されている使い方をよく見かけるのではないでしょうか。
ようは、職場のなかで昇進したり、部署や勤務地が変わったりすることを異動と呼ぶわけですね。
ですから「じんじいどう」は人事異動と書きます。
移動の意味
続いて【移動】についても辞典で正しい意味を当たってみます。
い‐どう【移動】
[名](スル)ある場所から他の場所へ移ること。「次の会場へ―する」「―図書館」
出典:goo辞書
移動とは、単純にA地点からB地点へと物理的に動くことだと再確認しました。
住民票の「イドウ」は異動と移動のどっちが正しい?
引越しにつきものの住民票のイドウですが、このイドウは異動?移動?、どっちなのかというと、
住民票の「イドウ」は【異動】が正解です!
住民票とは、こんな名前で、こんな歳の人が、この住所に住んでいますよ!ということを証明する記録のこと。
「住民票を異動する」という作業は、今まで住んでいた地域から転出証明書を出してもらい、新しく住む場所の役所へ行って、転出証明書を添えて転入届を出すことです。
ですから、住民票という書類自体を物理的にA区役所からB区役所へ移動させるわけではないんです。
この街から、あの街へと住む場所を変えます!という一種の「概念のイドウ」なので、【異動】が使われるわけですね。
勤務地の「イドウ」は異動と移動のどっちが正しい?
たとえば名古屋の本店に勤めていて、九州にも支店を出したから、そちらの店に勤務地の変更の指示が出た場合。
こういう勤務地の「イドウ」は一見すると場所の移動のように思えてしまいますが、それは間違い。
この場合も「異動」が適切になります。
概念として勤務地が変更になるわけですから「異動」が正解なんですね。
クイズ!こんなときはどっちの【イドウ】を使う?
ここまで読んで頂いたあなたならカンタンに即答できるようなクイズをご用意しました。
以下の文章の場合、【移動】か【異動】のどちらの単語を使うのが正解なのか、お答え下さい!
A.移動
A.異動
「異同」はどんな意味で違いはどこに?
これまた混同しそうな同音異義語に「異同」があります。
この単語は字の並びを見て解釈できるように
⇒異なっているところ、同じではないこと、違い
を指します。
ですから「異動と移動の異同は、その意味にある」といった使い方ができますね(笑)分かりづらいですが。
まとめ
異動と移動の使い分けや意味の違いについて解説してきました。
要点をPICK UPしてまとめると
- 概念のイドウは「異動」⇒人事異動など
- 場所のイドウは「移動」⇒移動図書館など
- 住民票のイドウは「異動」が正しい
- 勤務地のイドウも「異動」が正しい
これさえ覚えておけばもう大丈夫ですね!