重複は「じゅうふく」と「ちょうふく」と2つの読み方があります。
私は「ちょうふく」がずっと正しいと思っていたのですが、世間では「じゅうふく」と読む人のほうが多いみたいで……。
そもそも、なぜひとつの漢字に二通りの読み方があるのか、不思議ですよね?
そこで、この記事では
- 重複の読み方が「じゅうふく」になったのはいつから?
- 「じゅうふく」と「ちょうふく」の違い
- 重複の意味
などをくわしく調べてまとめてみました。
重複の読み方が「じゅうふく」に定着したのはいつから?
人によって読み方が違う「重複」。
どうやら、ここ数十年の間に「じゅうふく読み」が定着したようです。
文化庁が「重複」をどう読んでいるか調査したところ
- 76%の人が「じゅうふく」
- 20%の人が「ちょうふく」
という結果が出ています。
私の父親世代の人に訊ねると、大抵が
ちょうふくと読むのが正しいよ
と答えますね。
ためしに手元にある紙の広辞苑で「ちょうふく」を引いてみると、そこには詳細な解説が載っています。
しかし、「じゅうふく」を引くと「くわしくは【ちょうふく】の項目を参照して下さい」という誘導文しか書いてありません。
つまりこれは最初「ちょうふく」しかなかった読み方に、後から「じゅうふく」が追加されたことを意味します。
いつからこんなふうに変化したかというと、一説では、明治から大正にかけて「じゅうふく読み」が登場し、昭和になって辞書に掲載されたそうです。
こうした本来の意味では間違いの読み方でも、庶民の間で常識になった読み方を「慣用読み」と言います。
「じゅうふく」は「ちょうふく」の慣用読みとして定着したと言えますね。
ということになりますね。
重複の正しい読み方は「じゅうふく」と「ちょうふく」のどちら?
重複は「じゅうふく」と「ちょうふく」のどちらの読み方が正しいかと言うと、それは……
⇒正確には「ちょうふく」になります!
それはなぜか?という理由を説明するには、漢字の読み方からおさらいしないといけません。
ちょっと長くなりますが、お付き合いください。
漢字本来の意味からすると「ちょうふく」が正しい
漢字には「音読み」と「訓読み」の2つがあるのは知っていますよね?
- 音読み・・・中国語での発音を元にした読み方
- 訓読み・・・漢字の意味を表す日本語での読み方
重複の「重」は音読みでは「じゅう」と「ちょう」の2つの読み方ができます。
なぜ2つの読み方があるかというと、中国語では形容するときの「意味」によって漢字の読み方を変えるルールがあるからなんですね。
- 「重」を「じゅう」と読むのは「重い」という意味を表す場合(例:重量)
- 「重」を「ちょう」と読むのは「かさねる」という意味を表す場合
重複の意味を簡単に言うと「何かをかさねる」ということですから、「じゅうふく」ではなく「ちょうふく」が正しいということになるんです。
「じゅうふく」と「ちょうふく」の違い
重複は「じゅうふく」と「ちょうふく」の二通りの読み方がありますが、そこにはなにか違いがあるかというと、
読み方の違いがあるだけで意味に違いはありません!
そう、ひとつの単語に別々の読み方があるだけなんですね。
重複の意味
「重複」はどんな意味があるかいうと
⇒何か(物事)が重なり合うこと
を指します。
たとえば、スケジュールを確認したら海外出張の日と友人の結婚式の日取りが「重複」していた、とか、おみやげにケーキを買って帰ったら妻が買い物でついでに買ってきたケーキと種類まで「重複」していた、など。
ちなみに辞書で「じゅうふく」を引くと
【じゅうふく】
「ちょうふく(重複)」に同じ。
出典:goo辞書
このように「ちょうふく」の項目を見てくださいという指示が出されます。
同じ意味で間違いありませんし、どちらも辞書に載っているということは、どちらも世間で通用する正しい読み方と解釈していいでしょう。
会社で新入社員や、または上司が「じゅうふく」と読んだとしても、あえて指摘するのは止めておいたほうが得策ですね。
重複の例文集【正しい使い方講座】
最後に重複を使った例文集をご紹介して終わります。
取引先の打ち合わせが入っている日に別の予定がブッキングされそうなとき
⇒その日はスケジュールが重複してしまうので難しいです
ネット書店で新刊を予約していたのを忘れて発売日に町の書店で購入
⇒同じ本を重複して買ってしまった
結婚式の二次会で芸を披露する友人数人とどんなネタをやるか確認
⇒ネタが重複しないように打ち合わせをした
まとめ
最近、あちこちで「じゅうふく」と読んでいる人(それも学歴の高い人)が多いので、いったいどっちなんだ?と不安に思ってました。
もしかして、私のほうが間違っていたのかも・・・・・なんて。
重複(じゅうふく・ちょうふく)の違いや定着した経緯をまとめると
- 「重複」は「ちょうふく」と読むのが正しい
- 「じゅうふく」と読む人が多かったので定着し、今では正しい読み方になった
- ちょうふく・じゅうふくの2つはどちらも同じ意味
- 「何かのモノゴトが重なりあうこと」を意味する
このようにどちらを使ったとしても間違いではないです。
なので好きなほうの読み方をすればいいのですが、私としては本来のオリジナルの「ちょうふく」を使いたいですね。
そちらのほうがやっぱりしっくりきます。
普段から年配の方と接するような仕事をされている方は、やはり「ちょうふく」を使ったほうがすんなり伝わると思いますよ!
なかには頭のカタイ人もいるので、間違っていると指摘される恐れもありますから。
学生さんはもし国語のテストで「重複の読みを答えなさい」という問題が出た際には、素直に「ちょうふく」と答えることをオススメします。